【日本海縦断3日目】男鹿〜鯵ヶ沢149km。五能線沿いの絶景と「サイクリングの神」

2026.03.22
男鹿駅ー鯵ヶ沢駅

3月22日、午前5時10分。 男鹿駅から3日目の旅が始まった。
昨日の爆風と寒さで膝は悲鳴を上げていたが、
男鹿半島一周は次回の「リベンジ」へと持ち越し、一路、北へとペダルを進めることにした。
【日本海縦断3日目】朝日とともに、新たな道へ
3月22日、早朝。 男鹿駅で迎えた朝は、
昨日までの「爆風と寒さ」という試練を忘れさせるほど穏やかだった。
若干熊の怖さもあるが、まだ秋田は冬で気温は摂氏0度

地平線の彼方から、ゆっくりと、しかし着実に世界を照らし始める朝日。
昨日まで吹き荒れていた風が嘘のように静まり返り、
冷たく澄んだ空気が肺を満たす。 「今日は、行けるだろう」

膝の限界を感じつつも、この朝日に背中を押され、
私はペダルを漕ぎ出した。 目的地は青森県の鯵ヶ沢。

この日の選択が、まさに「サイクリングの神」を呼び込むことになるとは、
この時はまだ知る由もなかった。
聖地・八郎潟。ついに「風」が味方した
男鹿を出発し、広大な干拓地・八郎潟へと足を踏み入れる。
目の前に現れたのは、どこまでも、それこそ地平線の彼方まで続くかのような一直線の道。
そして、何よりも嬉しい変化があった。 「追い風だ……!」

昨日、あれほど私を苦しめ、絶望の淵へと追い込んだ風が、
今日は優しく、力強く背中を押してくれる。
昨日とは比較にならないほどスムーズに、Ternが加速していく。
遮るもののない広大な大地を、追い風に乗って駆け抜ける爽快感。
これこそが旅の醍醐味だ。
膝の痛みも、この瞬間だけはどこか遠くへ消えていった。
「サイクリングの神様、ありがとう」
沈みゆく夕日の光を浴びながら、この旅一番の「快走」を心ゆくまで堪能した。
北緯40度線を突破
走り続ける中で出会った「北緯40度」のライン。
昨日、凍える手で秋田入りの標識を撮った時とは違う。
今は、確かなスピード感とともに北上している実感がある。

遮るもののない広大な大地を、追い風に乗って駆け抜ける爽快感。
黄金色に染まり始めた空の下、私はこの旅一番の「快走」を心ゆくまで堪能した。
能代の「すき家」で、後半戦へのフルチャージ
八郎潟の追い風に乗って快走し、ついに辿り着いた能代。
ここから鯵ヶ沢までは、いよいよ五能線沿いの絶景ルートが始まります。
その過酷な、しかし美しい後半戦に備えて選んだのは、
日本を支える最強の朝食・すき家の牛まぜのけごはん朝食(鮭付き)。

青森の風を感じて。五能線絶景ルートの幕開け
能代の街を抜け、ついに国道101号線、
憧れの「五能線エリア」へと足を踏み入れた。
目の前には、どこまでも続くかのような真っ直ぐな道。
標識の「鯵ヶ沢」という文字が、今日のゴールが単なる数字ではなく、
確かな目的地として胸に迫ってくる。

左手に日本海、右手に五能線の線路をのぞみながら走るこの道は、
サイクリストにとって最高の贅沢だ。 膝の限界はとうに超えているはずなのに、
この景色と、背中を押してくれる微かな風が、不思議とペダルを軽くしてくれる。
「よし、あと91km。青森の懐まで走り抜こう」
【日本海縦断3日目】ついに、青森県へ!
八郎潟の追い風に乗って北緯40度線を越え、能代での確かな補給を経て、私はついにこの場所へと辿り着いた。
「青森県」

その三文字を目にした時、昨日までの「極寒と烈風の試練」が、
まるでこの瞬間のためにあったかのような達成感に包まれた。
膝の限界はとうに超えている。それでも、この新しい土地の風が、不思議と力を与えてくれる。

五能線の風に抱かれて
青森県に入り、いよいよ旅のクライマックス、五能線沿いのルートへ。
そこに待っていたのは、想像を絶するダイナミックな海岸美だった。

アップダウンを繰り返すたびに表情を変える日本海。
昨日までの爆風が嘘のように、今日の海は力強くもどこか優しい。
波が削り出した奇岩の間を、五能線の線路と国道が縫うように走る。

「あぁ、ここまで走ってきて本当に良かった」
膝の痛みさえも、この景色の中では旅のスパイスに思えてくるから不思議だ。

Ternの小さなタイヤが、一歩ずつ、確実に青森の奥深くへと私を運んでくれる。
太陽が西に傾き始め、海面がキラキラと輝き出す。
深浦町、絶景と美食のご褒美
八郎潟を追い風に乗って快走し、ついに辿り着いた
青森県・深浦町。 五能線沿いの荒々しくも美しい海岸線を走り抜けた私を待っていたのは、
この土地ならではの「海の恵み」だった。

丼を埋め尽くす新鮮なネタの数々。 一口ごとに、日本海の力強さが身体に染み渡っていく。
能代ですき家の朝食を食べてから数時間、アップダウンの激しい五能線ルートで消費したカロリーを、
これ以上ない形でリチャージする。
「この一杯のために、ここまで走ってきたんだ」
窓の外に広がる冬の日本海を眺めながら、しばし旅の疲れを忘れて美食に酔いしれた。
「これぞ、日本海縦断の醍醐味!」
この三色丼は、単なるランチではない。 能代で食べた「すき家の牛まぜのけごはん」が燃料なら、この三色丼は、旅の終わりを彩る「魂の報酬」だ。
千畳敷、太古の記憶が息づく海岸線へ
深浦町で極上の「三色丼」を堪能し、心身ともに満たされた私は、さらなる絶景を求めて北へとペダルを漕ぎ進めた。 そこで眼前に現れたのは、殿様が千畳の畳を敷いて宴を開いたという伝説が残る「千畳敷」だ。

隆起した岩肌がどこまでも続くその光景は、まるで別の惑星に降り立ったかのよう。 大町桂月の文学碑が静かに佇む傍らで、愛車と共に一息つく。 吹き付ける潮風は相変わらず冷たいが、この圧倒的な造形美を前にすると、足の疲れも心地よい達成感へと変わっていく。

鯵ヶ沢へ、岩木山に抱かれて
深浦からさらに北へ。五能線の線路越しに、ついに津軽の象徴・岩木山がその姿を現した。 山頂に雪を頂いたその神々しい姿は、「ここまでよく走ってきた」と労ってくれているかのようだ。

標識に刻まれた「鯵ヶ沢」の文字が、一漕ぎごとに現実味を帯びてくる。 男鹿からの149km、そして酒田からの累計約288km。 膝の痛みはピークに達しているはずだが、夕陽に染まる津軽平野の景色が、最後の力を振り絞らせてくれる。
さあ、あと少し。
ふと、ここまで刻んできた道のりを振り返る。 昨日の男鹿からの149km。
そして、一昨日の酒田からの累計は約288km。
「……じゃあ、新潟からは?」
サイクルコンピューターの数字を頭の中で弾く。
新潟駅をスタートしてから、累計走行距離はついに430kmを超えていた。
鯵ヶ沢の安らぎ、水軍の宿へ

夕暮れの岩木山に見守られながら、ついに本日の最終目的地、鯵ヶ沢温泉「水軍の宿」に滑り込んだ。
門をくぐれば、そこは戦士の休息地。 まずは、限界を超えた膝を労るために、太古の海水が湧き出すという化石海水温泉へ。茶褐色の湯に身を沈めれば、強風に晒され続けた肌と、張り詰めた筋肉がゆっくりと解けていくのがわかる。
そして、お待ちかねの「オールインクルーシブ」。
【至福の刻】鯵ヶ沢の夜、オールインクルーシブの誘惑
宿に到着し、化石海水温泉で限界を超えた膝をゆっくりと癒した後は、待ちに待ったラウンジタイム。

ずらりと並んだウイスキーやリキュールのボトル、そしてキンキンに冷えた生ビール。 「何杯でも飲める」というその言葉の響きが、空っぽになった体に優しく響く。
まずは、黄金色に輝くアサヒ生ビールで乾杯。

3日目は、男鹿から鯵ヶ沢まで約149kmの道のり。
昨日までの「極寒と烈風」が嘘のように、
この日はサイクリングの神様が微笑んでくれた。
4日目に続く・・・・




