【1日2座】初夏の蓼科山と霧ヶ峰(車山)を欲張りに駆け抜ける

今回の山行データ
1座目:蓼科山(標高2,530m)
急坂と大きな岩場が続く、短時間ながらもガツンと登り応えのあるルートです。
- 走行距離:5.26 km
- 行動時間:2時間22分54秒
- 上昇量(累積標高):627 m
- 消費カロリー:875 kcal

2座目:霧ヶ峰・車山(標高1,925m)
山頂から車山湿原へとルートを広げ、なだらかな絶景トレイルを爽快に駆け抜けた周回ルートです。
- 走行距離:8.54 km
- 行動時間:2時間17分46秒
- 上昇量(累積標高):397 m
- 消費カロリー:691 kcal

はじめに:なぜ1日で「蓼科山」と「霧ヶ峰」を選んだのか?
山をやっていると、どんなに準備を重ねても「まさか!」という日がありますよね。
この日の私も、まさにそんな日でした。
当初の予定では、蓼科山をじっくり周回するルートを計画して意気揚々と家を出発。
しかし、現地に向かう道中で背筋が凍るような大失態に気がつきます。
「……あ、クマ鈴忘れた。」 戻るにも戻れない所まで来てしまった・・・
これから向かうのは深い山のトレイル。
さすがにクマ鈴なしで奥まで突き進むのはビビってしまいます。
焦って途中のコンビニに駆け込み、一縷の望みをかけて探してみたものの、
さすがにコンビニにクマ鈴は売っていませんでした……。
さらに追い打ちをかけるように、この日はお気に入りのサングラスまで忘れていることが発覚。
「おいおい、今日は一体どうしたんだ」と思わず苦笑い。
そんな日って、たまにありますよね。
しかし、ここでタダでは起き転ばないのが百名山ハンターです。
「メインの蓼科山はサクッとピストンにするとして、裏山エリアまで足を伸ばすのはさすがに怖い。
何か他にいいプランはないか?」
そう考えたとき、頭に浮かんだのが近くにあるもう一つの百名山
「霧ヶ峰(車山)」の存在でした。
まずは予定通り蓼科山へ登り、その山頂でGPSマップを広げてじっくり作戦会議。
周辺のルートと移動時間を計算し、プランを練り直してみたところ……。
「あれ?これ、蓼科山をピストンした後に霧ヶ峰へ移動して走れば、意外と最高の神プランになるんじゃないか!?」
忘れ物だらけのちょっとツイていない朝から一転、ピンチをチャンスに変える
「1日2座の百名山ハシゴ・トレラン」の幕が開けたのです。
【1座目】蓼科山(4:59スタート)
時刻は朝の5時。駐車場に停まっている車はまだ10台未満で、あたりは静寂に包まれています。
初夏の朝のひんやりとした空気が肌に心地よく、山登りには最適なコンディションです。

手早く準備を整えて、登山口へと向かいます。蓼科山七合目の登山口には、
蓼科神社の立派な鳥居が佇んでいました。ここが神聖な山の入り口です。

一礼して鳥居の門をくぐり抜けると、いよいよ本格的なトレイルが始まります。
ここで、忘れてしまったクマ鈴の代役として登場したのが、手元に持っていたスピーカーです。
スピーカーの音量を大きめに設定し、周囲にしっかりと音を響かせながら進むことにしました。
これなら熊よけ対策もバッチリで、一気に安心感が生まれます。
蓼科山といえば、山頂に近づくにつれて現れる大きな岩がゴロゴロとした急登が特徴です。
すっかり夢中になって登っていたため、道中はスマホを取り出す余裕すらなく、
なんとここまで写真は0枚(笑)。それほど集中してトレイルと向き合っていました。
息を切らしながら岩場を登り詰め、朝の6時5分、ついに蓼科山山頂(標高2530m)へ到着しました!
山頂に立って目の前に広がったのは、言葉を失うほどの見事な大雲海と、どこまでも青い空。

ゴロゴロとした岩場の向こうに白い雲の海がどこまでも続いており、
ここまでの疲れが一気に吹き飛ぶ美しさです。
さらに視線を広げると、のように、ダイナミックな筋雲が広がる青空の下、
遠くの山々が雲海の上にぽっかりと頭を出している幻想的な景色が広がっていました。
遮るもののない360度の大パノラマは、早起きして登ってきた人だけが出会える特別なご褒美です。

そして、この素晴らしい景色に包まれながら、ここからの運命の作戦会議が始まります。



当初はここからさらに奥へと周回する予定でしたが・・・
見てください、この山深さ・・・・
スピーカーがあるとはいえ、
クマ鈴なしでこれ以上深いエリアへ踏み込むのはリスクがあります。
そこで、この開けた山頂でGPSマップを広げ、じっくりと次なる作戦を練り直すことにしました。
「メインの蓼科山はここで引き返してピストンにする。でも、この素晴らしい天気のなか、
このまま帰るのはもったいない。何か他にいいプランはないか?」
周辺の地図を眺めていると、すぐ近くにあるもう一つの百名山、霧ヶ峰(車山)の存在が目に飛び込んできました。
ここから下山して車で移動し、そこから改めて走り出すルートを計算してみます。
すると、驚いたことに、移動時間も含めてきれいに時間が噛み合い、
1日で2つの百名山を効率よく巡るベストプランにピタッとはまったのです。
サングラスもクマ鈴もないけれど、そんな日だからこそ臨機応変に楽しめばいい。
山頂でのこのひらめきによって、急遽「1日2座チャレンジ」へと大きくプランを変更することになりました。
最高の絶景描写になりました。笑
山頂での作戦会議を終えたら、あとは一気に下山です。
ゴロゴロとした岩場に気をつけながらリズムよくトレイルを駆け下り、
無事に登山口の駐車場まで戻ってきました。
時計を見ると、時刻は7時24分。

朝5時には10台未満だった駐車場は完全に満車状態で、道路脇までずらりと車が並んでいました。
さすが人気の百名山です。すれ違う登山者の方々も一気に増えてきており、
早朝スタートを選択して本当に大正解だったと実感しました。
混雑する駐車場を後にして車に乗り込み、次なる目的地である霧ヶ峰(車山)へと移動を開始します。

ここからは、蓼科山を下山して車で移動し霧ヶ峰へ
【2座目】思い出の霧ヶ峰・車山(8:10スタート)
車を走らせてやってきたのは、本日2座目の舞台となる霧ヶ峰です。

実はこの場所、かつて冬のシーズンに息子を連れてスキーを楽しみに来たことがある、
我が家にとって思い出深いスキー場でもあります。あの時は一面の白銀世界をリフトで登っていたわけですが、
まさか数年後、初夏の青空の下で「自分の足でここを走って登る」ことになるとは、
当時の自分は夢にも思っていませんでしたが(笑)。そんな懐かしい思い出に浸りつつ、準備を整えます。
車山山頂・八島湿原方面を指す案内看板を確認し、
気持ちを新たにリスタート。時刻は8時10分です。
目の前に広がるスキー場はすっかり鮮やかな緑に覆われており、
蓼科山のゴロゴロとした岩場とは全く違う、開放感抜群のロケーションが広がっています。
見上げる空には白い雲がぽっかりと浮かび、最高の山日和。
息子と滑った斜面を今度はトレランシューズで一歩ずつ踏み締めながら、車山山頂を目指して歩き出しました。
スキー場から続くトレイルを登り進めていると、空に不思議な現象が現れました。

ふと見上げた太陽の周りに、ぐるりと大きな虹の輪が広がっているのです。
これは「ハロ(日暈)」と呼ばれる珍しい気象現象。
初夏の青空に浮かぶ太陽を囲む光のリングはとても幻想的で、
まるでプランを急遽変更して走りに来た自分を歓迎してくれているかのようでした。
サングラスを忘れたおかげで、かえってこの空のグラデーションが鮮明に見えたのかもしれません(笑)。
足元に目を向けると、トレイルの脇にはレンゲツツジの赤い花がぽつぽつと咲き始めており、
緑の斜面に美しい彩りを添えています。

そして、少し息が上がってきたところで後ろを振り返ると、さらなるご褒美が待っていました。
左奥に見える、ひときわ存在感を放つ美しい山。
それこそが、つい数時間前まで自分が立っていた蓼科山です。
こうして別の山から眺めると、その堂々とした佇まいに改めて感動が込み上げてきます。
今朝あそこに登り、山頂でこの霧ヶ峰へのハシゴを決意した一連の流れが、一本の線となって繋がった瞬間でした。
行く手を見上げると、なだらかな丘の先へと整備された美しい砂利道のトレイルがどこまでも続いています。

心地よい高原の風に吹かれながら、整備された階段状のトレイルをさらに登っていきます。

すると、前方に見えてきたのが大きな白い球体。これぞ霧ヶ峰・車山のシンボルである、
車山気象レーダー観測所です。この丸いドームが近づいてくると、
いよいよ山頂が間近に迫っていることを実感してワクワクします。
そして、リスタートからわずか50分、時計の針がちょうど9時を指した瞬間に、車山山頂(標高1925m)へ到着しました!
山頂には、天空に突き刺さるかのように立派な御柱(おんばしら)に囲まれた車山神社が鎮座しています。

「車山神社一之御柱」「二之御柱」と書かれた力強い木柱の向こうには、
澄み渡る青空と遠くの山並みがどこまでも広がっていました。
車山山頂のすぐ先には、見晴らしの素晴らしい木造の展望デッキが整備されていました。
遮るものが何もないデッキからは、今朝登ったばかりの蓼科山(左側)から、
右奥へと雄大に続く八ヶ岳連峰の美しい大パノラマが一望できます。
つい数時間前はあの尖った山頂に立っていたのだと思うと、自分の足でここまで繋いできた実感が湧いてきて、
何とも言えない贅沢な気分に浸ることができます。

そんな最高の景色を前に、設置されたベンチに腰を下ろして、
待ちに待った朝食兼エネルギー補給の時間を取ることにしました。

贅沢な焼きそばパンタイムを終え、いよいよ下山ルートへと向かいます。

当初の作戦では、登ってきた道をそのまま戻るシンプルなピストンの予定でした。
しかし、山頂から目の前に広がる霧ヶ峰のあまりにも美しい景色を見ていたら、
そのまま真っ直ぐ帰るのが急にもったいなくなってしまったのです。
「せっかくここまで来たんだから、この広大なトレイルをもっと楽しもう!」
そう思い立ち、車山肩方面へと一気に下り、湿原をぐるりと巡る周回ルートへと予定を変更しました。

標柱の背景に見える通り、そこには遮るものが何一つない大パノラマが広がっています。
波打つように広がる一面の草原と、ぽっかり浮かぶ白い雲、そして遠くに連なる美しい山並み。
この広大なトレイルに身を置いているだけで、走る喜びが体の奥から湧き上がってきます。

蓼科山の険しい岩場を登りきった脚には、この開放感あふれるなだらかな下り基調のトレイルが最高に心地よく、
まるで高原を吹き抜ける風になったような感覚。
ハプニングから始まった旅でしたが、思い切って周回ルートを選んだおかげで、
霧ヶ峰の本当の美しさを心ゆくまで堪能することができました。

そして時計の針が10時半を指した頃、無事にベースへと帰還!

緑に包まれたスキー場のベースエリアと、その上に広がる吸い込まれそうな青空が
「おかえり」と迎えてくれました。思い切って周回ルートを選んだおかげで、
霧ヶ峰の本当の美しさを心ゆくまで堪能し、最高の形で締めくくることができました。
まとめ:1日2座トレランを終えて
10時半に無事2座を完了した後は、お楽しみのアフター登山です。
信州に来たからには絶対に外せないのが美味しいお蕎麦。今回は「そば街道」へと車を走らせ、
山での消費カロリーを全力で回収しに向かいました。

注文したのはボリューム満点の天丼とお蕎麦のセット!
サクサクで大きなエビ天がのった丼を頬張り、キリッと冷えた喉ごしの良いお蕎麦をすする瞬間は、
まさに至福の一言です。五臓六腑に染み渡る美味さで、走った後の体にエネルギーが最高の形で満たされていくのを感じました。
お腹を満たした後は、近くの温泉へ。 蓼科山の岩場と霧ヶ峰の爽快なトレイルを駆け抜けた脚を温泉でじっくりと労い、
汗をさっぱりと洗い流します。
湯上がりの心地よい余韻に浸りながら中央道を走り、16時には自宅へと無事帰着しました。
振り返ってみれば、朝一番に「クマ鈴を忘れた」と気づいたときは前途多難かと思われた1日でした。
しかし、蓼科山の山頂でGPSマップを広げてプランを練り直したあの瞬間から、
全ての歯車がカチッと音を立てて噛み合い始めました。
日本百名山制覇への道のりは、これでまた一歩前進
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