Vol.90 ウトロから標津町へ!緊張と葛藤の知床峠アタックと体調不良との死闘

日本一周サイクリング旅の中でも間違いなく最難関のひとつ、

知床峠越えへ挑むアタック当日がやってきました。

頭を悩ませたのは熊問題で、熊スプレー無し・単独で挑んでいいものなのか、

直前まで激しい葛藤がありました。

さらには連日の疲れや毎晩の酒もあって体調は万全とは言えませんでしたが、

緊張と集中のおかげで不思議とそこまで気になりません。

「焦らず無理だけは絶対にしない」と深く覚悟を決め、

研ぎ澄まされた集中力とともに勝負の一日が始まりました。

DAY4の走走破データ(概要)

コース:ウトロ 〜 知床峠 〜 羅臼町 〜 標津町

走行距離:81.98 km

所要時間:8時間03分45秒

平均スピード:10.2 km/h  

Screenshot

  

6時半に宿を出発!6時45分に最深部「幌別橋」へ

ヒグマの活動が活発な薄暗い早朝の時間帯を避けるため、しっかり明るくなった午前6時30分に宿を出発。

ウトロ市街を抜け、6時45分には世界自然遺産の標識が掲げられた「幌別橋」へ到達しました。

この橋を渡ると、いよいよ手付かずの大自然が広がる

知床半島の最深部へと足を踏み入れることになります。

澄み渡る青空の下、これから立ち向かう峠道を見つめてヘルメットの紐を締め直し、覚悟を再確認。

緊張感と高揚感が交錯する中、

ついに日本一周旅最大の難所へ向けてペダルを踏み出しました。  

景色を楽しむ余裕もない!緊張感MAXの前半1時間

幌別橋を渡ってからの最初の1時間は、正直周囲の景色を楽しむ余裕など一切ありませんでした。

熊スプレーを持たない単独走行ゆえ、いつ野生動物と遭遇してもおかしくない緊張感が常に漂います。

シルバーウィークで交通量は多めでしたが、ふっと車が途切れて静寂に包まれるたび、緊張感が一気に高まりました。

そんな中、エンジン音を響かせて通り過ぎるバイカーたちの存在は、

精神的に本当に大きな救いとなりました。

車やバイクの気配に安心感をもらいつつ、

自分自身の走りと呼吸だけに全神経を集中させてひたすら登り続けます。

羅臼岳を仰ぎ見ながら!全力集中で挑むつづら折り

登りの時間は不調な身体と向き合いながら、

とにかく全力集中でペダルを回し続けました。

必死の走りを続けるうちに視界が開け、

目の前には雄大な「羅臼岳」が圧倒的なスケールで迫ってきます。

ふと振り返ると、緑豊かな樹海の中を美しく描きながら登ってきたつづら折りの道路と、

遠く青いオホーツク海の一望。

「あの極限の緊張感の中、自分の脚でここまで登ってきたんだ」

という実感が湧き上がり、胸が熱くなります。

過酷な傾斜と澄み渡る秋空のもと、絶景を背に受けながら最後のひと踏ん張りに向けて力を込めました。

スタートから約1時間40分!8時24分に知床峠の頂へ到達

6時45分に最深部へ入ってから約1時間40分、

8時24分についに標高738mの「知床峠」山頂に到達しました。

体調不良と熊への恐怖という二重の試練を抱えながらも、

驚異的な集中力で登り切った瞬間でした。

青空のもと、バックにそびえる羅臼岳と知床峠の石碑が、

過酷な挑戦を乗り越えたことを称えてくれているようです。

己の力だけで日本一周旅の最難関を突破できた経験は、

これ以上ない大きな自信となりました。

山頂の爽やかな風を全身で受け止め、

最高の達成感とともに忘れられない喜びを噛み締めました。  

滞在は10分!国後島を眼下に望み羅臼へダウンヒル

知床峠の山頂に無事到達したものの、朝からの体調不良もあり滞在は10分ほどで切り上げました。

風で体を冷やさないよう配慮しつつ、海の向こうにくっきりと浮かぶ国後島の影を心に刻みます。

ここからは一気に標高を下げる爽快なダウンヒルですが、

安全第一でブレーキを慎重にコントロール。

途中で反対側から坂を登ってくる力強いサイクリストや、道路脇の野生エゾシカとの出会いも。

知床の大自然が魅せるダイナミックな景観を全身で浴びながら、

無事に羅臼市街へと下り立ちました。  

「熊の湯」の熱い名湯と、道の駅で味わう葛藤のランチ

下山後は羅臼の名湯「熊の湯」へ立ち寄り、強張った身体をほぐすことに。

ピリッと熱いお湯に身を沈めると、知床峠越えの極限の緊張感と体調不良からか身体がすーっと温まります。

その後「道の駅知床・らうす」へ移動し、豪華な煮魚やお刺身が並ぶ定食を注文しました。

しかし峠越えの激しい疲労からか胃が重く、本当に美味しそうな料理を前にしても思うように箸が進みません。

身体の悲鳴を受け止め無理をせず、なんとか7割ほどを口にして午後の走りの糧としました。  

体調不良のなか挑む「標津47km」のウイニングロード

羅臼を出発して目に入ったのは、「標津 47km」と書かれた容赦のない道路標識でした。

限界に近い体力と不調な身体を抱えての47kmは、果てしなく遠く絶望的に感じられる距離。

それでも「とにかく焦らず完走する」と心に決め、

根室海峡沿いの小刻みなアップダウンが続く道路を黙々と南下します。

振り返ると、快晴だった羅臼岳は雲の中に・・・

予定通り、午後から天候が悪くなり始めてきました  

途中で何度も襲ってくる身体の重さに耐えながら、

あと1キロと自分を奮い立たせてペダルを回す時間。

苦闘の末についに「標津市街 4km」の標識を捉え、

無事に本日の目的地へとたどり着くことができました。

コンビニ飯で静養!12時間睡眠と大量の寝汗で奇跡の回復

宿に到着した後は無理をせず、近くのコンビニでおにぎりとなめこの味噌汁、卵焼きを購入。

胃に負担をかけない優しいメニューで軽く食事を済ませ、夕方18時にはベッドに入りました。

そこから翌朝の朝6時まで、実に12時間ものあいだ泥のように深く眠り続けました。

夜間に大量の寝汗をかいたことで身体の中に溜まっていた疲労と不調が一気に排出された感覚。

体をしっかり休ませることに専念した結果、幸いにも翌朝には大事に至らず無事に体調を持ち直すことができました。

日本横断一筆書き  合計 走行距離 10,771キロ

60歳で自転車世界一周へ。
この一杯が、次の一歩になります!!